インターネットカフェには四方が壁で覆われた、完全個室タイプのブースがあるお店もあります。
中には鍵付き個室や防音仕様など、プライバシーを保護するために様々な快適に過ごせる工夫を施すお店も。友達や恋人と遊びに行ったり、もくもくと勉強しに行ったりする人も多いでしょう。
最近ではE-Sportsが流行していることも受け、ハイスペックPCが用意された中高生のゲーマー向けブースも人気です。
しかしながら、18歳未満の中高生は青少年保護育成条例によって、ネットカフェ・漫画喫茶の利用に制限がかけられています。「お店に行っても追い出されてしまった」なんて経験がある人もいるはず。
そこで今回は、元ネットカフェ店員の私が、18歳未満の中高生がネットカフェを使えるのかどうかを詳しく解説します。
ネットカフェは青少年保護育成条例の規制対象
都道府県別に定められている条例で、18歳未満の人はインターネットカフェの利用可能な時間帯が決められています。
例えば東京都の場合、18歳未満は23時〜4時はお店の利用が不可となっています。宿泊は不可能ですが、23時までであればお店の利用自体は可能ということですね。
ちなみにほとんどの都道府県で、深夜外出の制限という条項によって22〜23時までの利用制限をかけています。そもそも深夜に出かけてはいけないという理由が大きいですが、それ以外にもネットカフェには『パソコンの利用を制限する』という側面で厳しい規制がかけられています。
完全個室タイプの規制について
東京都の条例によると、深夜(23〜4時)の個室利用は不可能となっています。
第十六条 次に掲げる施設を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、深夜においては、当該施設に青少年を立ち入らせてはならない。
一 興行場
二 設備を設けて客にボウリング、スケート又は水泳を行わせる施設
三 個室を設けて当該個室において客に専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる施設
四 設備を設けて客に主に図書類の閲覧若しくは観覧又は電気通信設備によるインターネットの利用を行わせる施設(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館を除く。)
東京都の場合、深夜以外の個室利用に関する規制がないため、お店の規約がなければ18歳未満でも個室が使えるということになります。
ただし、多くのネカフェチェーン店が加入する『日本複合カフェ協会』が、18歳未満はオープン席(見通しの良いブース)に通すように指定しているため、主要なネカフェチェーン店は個室の利用が難しいでしょう。
また、神奈川県の条例は厳しい規制がかけられていて、県知事から指定を受けたお店は、時間問わず個室に18歳未満の客を立ち入らせることを禁止しています。
18歳未満の高校生がネットカフェの個室を使うためには
つまり、18歳未満の高校生でも個室が使えるお店は、
- 都道府県別の条例にも引っかからない
- 日本複合カフェ教会に非加入
- お店の規約上問題なし
上記3つの条件に該当する場合に、完全個室の利用が可能になります。東京都だとマンボーが該当しますね。
インターネットカフェの利用に関する制限
東京都の条例ではインターネットが使えるパソコンが置かれたブースに案内する場合、身分証確認と会員登録が必要になります。(年齢関係なく)
これはサイバー犯罪防止のためですが、18歳未満の場合はこれに加え、教育上不適切なページを閲覧させてしまう可能性を考慮して、規制がかけられています。
中高生が来店した際は、お店によってはパソコンにフィルタリングを導入するか、オープンシートに通すといった対策をとっていることも多いです。
条例以外にもお店ごとに規制がかけられている
「深夜には行かないし、パソコンも使わないから条例には引っかからない」と思うかもしれませんが、もう1点だけ注意点があります。
条例は最も優先すべき規約ですが、その次に店舗ごとの利用規約が細かく設定されているため注意です。
このお店では22時までOKだけど、あっちのお店は18時以降利用禁止だ、なんてケースも。詳しくは近くのお店のホームページを参照して欲しいのですが、この記事で主要なネカフェの利用規約を紹介するので参考にしてみてください。
ネカフェ最大手の快活クラブ
ネカフェ店舗数No.1の快活クラブは、18歳未満の鍵付き完全個室の利用が不可能となっています。
20時~翌7時の時間帯の16歳未満の方のご利用。
22時~翌7時の時間帯の18歳未満の方のご利用。
(18歳未満の方は保護者同伴の場合であっても、22時~翌7時の時間帯のご利用はお断りさせていただきます。)
青少年の鍵付個室区画への立ち入り。(成人同伴でも禁止)
出典:快活クラブ 公式
16歳未満は20時まで、16〜18歳未満は22時までとなっています。
18歳になった高校生は、深夜のお店の利用が可能なのかどうか、というのは一概には言えません。
というのも条例では18歳未満としか書かれていないため、年齢確認が保険証や免許証等で行えば、高校生かどうかお店側は知ることができないからです。
18歳になった高校生が学生証で身分確認を行うと、「高校生だから22時までに帰ってね」とか「パソコンはダメ」とか言われるかもしれないので、鍵付き完全個室を使いたい場合は保険証等を用意しておくといいかもしれません。
業界No.2の自遊空間
自遊空間は快活クラブより若干厳しい規約が設けられています。
16歳未満(中学生以下)の方は20時~翌5時までのご利用、18歳未満(高校生以下)の方は22時~翌5時までのご利用をお断りさせて頂きます。
保護者同伴であっても、20時~翌5時までのご利用はお断りさせて頂いております。
※地域の条例により時間が一部異なる場合があります。出典:自遊空間 公式
16歳未満は20時まで、18歳未満は22時までという時間規制は快活と同じです。ただし大きく違うのは『高校生”以下”』という指定。
高校生以下というのは高校生3年生を含むため、18歳になっても深夜の利用は不可ということです。
独自ルールを貫くマンボー
日本複合カフェ協会という、主要なネカフェチェーン店が組織する団体に未加入なだけあって、規制はやや緩い印象です。
完全個室タイプがあるお店でも、マンボーは18歳未満の利用が可能。ただ、時間の制限は他の店舗と同様です。
さらに、マンボーなら東京以外だと会員登録不要なので、面倒な手続きなしでお店に入れます。
東京都は条例でパソコンが使えるブースに入る際に会員登録が必要なのですが、パソコンがないブースなら不要。
中高生は年齢確認をされる可能性がありますが、店員によっては何も確認せずに通しちゃう可能性もありますね。
DiCE
完全個室タイプのブースや学割キャンペーンなどがあるネットカフェ「DiCE」の規約は下記の通りです。
第15条(ご利用時間)
当店のご利用時間に関しまして、満18歳未満の方は22 時~5時までのご利用をお断りさせていただきます。また、中学生以下の方は原則的に保護者の同伴が必要です。ラウンジ席、esports席は中学生のみのご利用も可能ですが、5時~18時が利用可能時間となります。
但し各都道府県の青少年育成条例等に別途定めがある場合は、そちらを優先する場合がございます。出典:DiCE 公式
ラウンジ席/esports席も18時までとなっています。
まとめ:18歳未満/高校生は原則個室利用ができない
結論、絶対に不可能とは言い切れませんが、ほとんどのお店で18歳未満の個室利用はできないと言えます。
少なくとも日本複合カフェ協会に加入しているお店は、クリーンな経営を心掛けているので規制も厳しめです。
また、今回紹介したケースは関東の一部店舗でのケースなので、行く前に必ずお店の利用規約をチェックしてみてください。